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特別対談/筑波ハム レストラン自然味工房料理長・冨金原順さん &つくば谷口農園 谷口能彦さん

# スペシャリテ

創業約40年、養豚農家が始めたハム工房の直営レストラン自然味工房。自社ブランド豚である「つくば豚」で手造りしたハムやソーセージと共に、地元つくば産の新鮮な野菜を味わえる人気レストランです。そんな自然味工房で料理長を務める冨金原さんと、自然味工房御用達の農家・つくば谷口農園代表の谷口さんに対談形式でお話を伺いました。

 

【鮮度こそグルメの要】
地場産の素材にこだわり、美味しいお肉と野菜を提供するレストラン自然味工房。現在、市内では5軒の農家と契約し、それぞれが得意とする野菜を中心に仕入れています。そんな中から、料理長の冨金原さんに推薦していただいた1軒が谷口農園です。まず、谷口さんの野菜を取り入れるに至った経緯から伺いました。

――自然味工房では、谷口農園のどの野菜を使っているのでしょうか。
(冨)「主にアスパラガスを使っています。3L、太さのあるサイズをリクエストして、持ってきてもらっています。他に、細めのものを入れてもらった時には茹でて半分にカットし、サラダビュッフェに並べることもあります。ビュッフェで見かけたらラッキーですね。お客さんからの反応がすごく良くて、すぐなくなってしまうんですよ」
(谷)「有難いです。自然味工房さんとは、農園を設立してすぐぐらいの段階からお付き合いさせて頂いています。元々、僕が独立する前にお世話になっていた市内有機農園の方を通して〝良いレストランだ〟という評判を聞いていたので、ぜひうちの野菜も使ってもらいたいと思いアスパラガスを持参して挨拶に来たんです」
(冨)「その時、持ってきてくれたのが凄く立派なアスパラで。スーパーマーケットでは絶対に見かけない、並ばないような太さのものだと思います。それを試しに調理してみて、美味しさに驚きました」
――谷口さんのアスパラガスは、どのような印象でしたか?
(冨)「ひと口食べてみて、すぐに〝あ、これはレベルが違うな〟って分かる味です。まず、ジューシーさ、みずみずしさが違いました。それから、香りも味も濃くて、甘さを感じる。食感は柔らかで、皮をむかなくてもそのまま食べられる。付け合せではなく、アスパラガスをメインに据えたひと皿として、筑波ハム自慢のハムと合わせたりしてお出ししてみたらお客さんからも評判が良かったですね」
――その違いの理由は、どういうところにあるんでしょうか。
(谷)「それはずばり、鮮度ですね。アスパラガスの美味しさは鮮度に直結します。流通に時間をかければかけるほど、穂先が開いて根元が乾いてしまいます。一般流通なら出荷から店頭に並ぶまで数日~1週間ほどもかかるところ、市内レストランと農園なら収穫して一旦予冷後すぐに持ってこられる距離。だから、みずみずしさが絶対的に違うんです」
(冨)「食感も全然違う。シャキッとして歯切れがいいですよね」

【どのように味わうか】
鮮度抜群のみずみずしいアスパラガス。お話を聞いているだけでぜひ味わってみたくなりますね。では、そんな極上素材を冨金原シェフはどのように調理するのでしょうか。

――谷口さんは、自然味工房でお食事されたことはありますか?
(谷)「もちろん!自分の野菜を使ってもらっている飲食店には、出来るだけ足を運ぶようにしています。自然味工房のお味はどれも優しくて、すっきりしているけれど旨みがある。噛むほどに素材の甘みが出てくる。スーッとゆっくり身体に染み渡るような、滋味深さがありますよね。食べ疲れもなく、胃もたれもしない」
――ご自身のアスパラガスを使ったメニューもお味見されましたか?
(谷)「はい。僕自身も料理は好きなんですが、プロの方に調理してもらうとこういう風になるのか!と感動したのを覚えています。3Lサイズのアスパラガス1本に生ハムを添えて、茗荷のドレッシングでいただきました」
(冨)「谷口さんのアスパラガスは生でも美味しく食べられますが、これは甘味を引き出す程度にボイルしました。完全に加熱はせず最小限に留めて、シャキシャキ感を残しました。やはりあのみずみずしい食感を味わってほしかったので。基本はディナータイムのコースメニューで提供しています。フレンチのひと皿で出てくる、ホワイトアスパラガスのようなスペシャルメニューになるようイメージして、谷口さんにオーダーしています」
(谷)「冨金原さんから注文をいただいたら、いつでも最高の状態でお持ちできるように準備しています。ぜひ、皆さんにも味わっていただきたいです!」

【妥協せず、リスペクトし合う関係】
お話を伺う中で伝わってきたのは、お二人が互いをリスペクトし、尊重している揺ぎ無い信頼関係。単なる「飲食店と食材提供者」に留まらない密なコミュニケーションを築くことが出来るのも、市内の距離感ならではです。

――「冨金原さんが、谷口さんに更に期待することなどはありますか?」
(冨)「いやもう、常に成長されているのでこのままでお願いします。素材の良さに全幅の信頼を置いています。とにかく谷口さんは妥協がない。徹底している。前も、アスパラに加えてじゃがいもをお願いした時があったのですが、〝申し訳ないけれど今回は出せない〟ってNGが出たことがありました」
――どうしてNGだったんですか?
(谷)「単純に、納得がいかない出来だったからです。自然味工房の料理を楽しみに来てくれているお客さんをがっかりさせたくない。良くないものを出せば、谷口農園の味を評価してくれているお店の信頼も失ってしまう。だから、野菜のクオリティは厳しくチェックしています」
(冨)「他にも、谷口さんはお店に直接配達してくれるなど、手間をかけてくれています。私も、朝は他に何軒か回って素材を受け取ってきたりと時間がないので、すごく有難いですよね」
(谷)「その分、納品時間は僕の都合に合わせてもらったりと、お互いに都合をすり合わせてうまくやれています。有難いです」

互いの良さをリスペクトし、高め合う冨金原シェフと谷口さん。今後は、レストランメニューに捉われない食のコラボレーションイベントもやってみたいと考えているそう。更なるつくばの美食が生まれることを期待しています!

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