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産学官が育てた、国内有数ブルーベリー産地/つくばブルーベリー協議会

# 育てる人(農家)

「日本三大ブルーベリー産地」のひとつに名を連ねるつくば市。コロンとかわいらしい青紫の果実は、食味の良さに加えてアントシアニン色素を多く含むなど健康にも良いとあってファンの多い果物です。そんなブルーベリーが日本に上陸したのは、意外にも1950年代なのだとか。国内のブルーベリー栽培黎明期から根を張り実ったつくば産ブルーベリーの魅力について、市内生産者を中心に29名から成る「つくばブルーベリー協議会」にお話を伺いました。

つくばブルーベリー協議会会長の久松さん。「つくば市農産物オーナー制」にも参加しています。

【つくばのブルーベリーの歴史】

生食はもちろん、ジャムや製菓材料など私たちにとってもメジャーな果物のひとつブルーベリー。北米原産で、アメリカを中心に品種の開発が進んでいます。栽培種は主に「ハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」に大別され、それぞれ適した気候が異なります。皆さんもご存じの通り、様々な植物の南限と北限が混在する茨城県でもブルーベリーは各地で栽培されていますが、県内で先駆けてブルーベリー栽培をはじめたのがつくば市でした。そのきっかけとなったのは、まだ開学間もない頃の筑波大学。1977年に筑波大学の福島正幸先生によって学内にブルーベリーの苗が植えられ栽培研究が始まり、1979年から開催された一般市民向け公開講座でもブルーベリー栽培が取り上げられました。「その頃の日本国内でのブルーベリーの認知度はまだまだ低く、とても珍しいものでした。私の家では元々柿や栗、桃などの果樹栽培をやっていて、〝小さな苗で実をつける新しいものがあるんだよ〟とブルーベリーを紹介されて、講座を受けました」と当時を振り返って話してくれたのは、つくばマイスターズブルーベリー園代表の鈴木太美雄さんです。公開講座の受講後、福島先生と共にブルーベリー栽培に熱を注いだ鈴木さんは今や国内におけるブルーベリー栽培のパイオニアのひとり。公益財団法人日本特産農産物協会が認定する「地域特産物マイスター」にブルーベリー生産者として初めて名を記し、各地で技術指導やブルーベリーの普及に尽力してきた立役者です。もちろん、つくば市が日本三大ブルーベリー産地と言われるほどになったのも、鈴木さんが福島先生と共同して研究した独自の栽培技術が大きく寄与しています。
つくばブルーベリー協議会で共有されている栽培法では、無農薬・有機肥料使用が基本です。鈴木さんが福島先生と共同研究して作ったオリジナル肥料は、アミノ酸を含む魚粉や豊富な栄養素を含む脱脂米ぬかなど9種の材料を混ぜたもの。糖度を高めるなど食味改良はもちろん、消費者にできるだけ安全なものを食べてもらいたいという気持ちも込められています。手作業での害虫駆除、雑草処理、さらにひと粒ひと粒の摘み取りと、手間も苦労も多くかけられていますが、だからこそつくばのブルーベリーは高い品質でファンを増やしてきたのです。

自身の圃場で新たなブルーベリー品種の開発を手がけるなど、今なお第一線で生産者をけん引する鈴木さん。つくばブルーベリー協議会初代会長も務めました。

【つくばの歴史と風土に合った作物】

さらに、つくば市でブルーベリー栽培が盛んになったのは地の利も大きいと言えます。「ラビットアイ系はみかんの栽培エリア、ハイブッシュ系はりんごの栽培エリアと概ね重なるんですよ。つくばはちょうどその両方が作れる場所なので、多くの品種を栽培することができる」と鈴木さん。その恩恵を受け市内各生産者それぞれがバラエティ豊かな品種を栽培しており品種ごとに食べ頃も異なるため、夏の間の比較的長い期間代わる代わる旬のブルーベリーを楽しむことができるのもつくばならではの魅力のひとつです。
生産者にブルーベリー参入を促したもう一因が、バブル崩壊に伴う特産物「芝」の需要下降でした。現在、つくばブルーベリー協議会の会長を務める久松さん(久松ブルーベリー園)も芝からの転作だったそう。芝とブルーベリーはいずれも酸性の土壌を好むので、芝の後作として適していたこともあり市も注目。平成11年にはブルーベリー栽培を推奨するため苗木の購入費や圃場整備に使用するピートモスの購入費の補助事業がスタートし、後押しされるようにブルーベリー生産者がぞくぞくと増えたのです。
また、つくば市内のブルーベリー生産者の特徴について「農業以外の分野から参入してくる人や、市外から移住してくる人など多彩なバックグラウンドを持つ人が多い」と話すのは協議会副会長の玉田さん(たまだファーム)。玉田さん自身も大阪出身で、会社勤めの傍ら週末農業でブルーベリー栽培をスタートしたそうです。「つくば市は制度が整備されていて農地も借りやすく、農業に新規参入しやすいと思います。高崎自然の森には協議会で管理するブルーベリーの圃場があり、そこでは一般向けに摘み取り体験や剪定講習会も開催されるなど市民の皆さんにも興味を持ってもらえる環境も整っています。実は私も講座を受けて〝自分にも出来そうだな、仕事しながらチャレンジしてみよう!〟と思って始めたんですよ」(玉田さん)。久松さんも本業とブルーベリー栽培を掛け持ちしており、つくば市が用意している「農業サポーター制度」(※)を活用しているそうです。「サポーターさんには主に収穫をお手伝いして頂いています。農業に興味のある方が多く来てくれて、楽しんで参加してくれてとても助かっていますよ」と久松さん。協議会と市が共にブルーベリーを盛り上げています。

※農業サポーター制度…つくば市では、農作業時の人手不足で困っている農家と、要請に応じて農業ボランティアとして農作業のお手伝いをしてくれる方を結びつける「農業サポーター制度」を実施しています。農家のみなさんとの交流を気軽に楽しみたい方や、農業に興味のある方などにサポーターとして登録・ご参加いただいています。

元は大阪出身の玉田さん。農業に興味を持っていたところ、鈴木さんの講座を受けてブルーベリー栽培に参加。今ではすっかりブルーベリーの魅力に夢中と話します。

【ブルーベリーシティつくばの魅力向上】

つくば市で迎えるブルーベリーの旬は毎年6月上旬から8月下旬ごろ。スーパーでも容易に手に入り、冷凍やジャムなど加工しても楽しめますがやはり「ブルーベリーは、旬の時期に生で食べるのが一番美味しいです!」と皆さん口を揃えます。さらにブルーベリーは収穫後追熟しないので、樹上で完熟した果実を摘み取ってすぐ食べるのが一番お勧め。つくば市内では25を超える園でブルーベリー摘み取りを実施しており、気軽に足を運べる環境。先に述べた通り協議会では無農薬栽培を奨励しているので、多彩な完熟ブルーベリーを安心して味わえるのも魅力です。
「ラビットアイ系、ハイブッシュ系でも食味に違いがあります。生食で人気があるのはハイブッシュ系が多く、比較的皮が薄く食感も良いのでケーキ用にもこちらがいいと言う菓子店も多いですね」と久松さん。もちろん、その二系統の違いに限らず品種それぞれで味わいは異なります。玉田さんも「ハイブッシュ系ならアーリーブルー。ラビットアイ系なら爽やかでフルーティなフェスティバルが好きです。つくばに来るまでブルーベリーを美味しいと思ったことなんてなかったんですが、ここで初めて完熟のアーリーブルーを食べてブルーベリーの美味しさを知りました」といいます。
実際に、久松さんの圃場でブルーベリーを味見させて頂きました。とびきり甘いもの、酸味が強いもの、程よい酸味があるもの、あっさりしたもの、香り高くフルーティなもの、やや渋みのあるもの……「どれも同じブルーベリー!?」と驚くほど樹によって味に違いがありました。味の好みは人それぞれなので、色々食べてみて自分が好きなブルーベリーを見つけられるのも摘み取りならでは。
一年のうち約3カ月しか味わえない生のブルーベリー。協議会では、収穫期以外でもつくばのブルーベリーの美味しさを消費者に味わってもらいたいと、年間を通して販売できる加工品の開発にも取り組んでいます。既に販売されている「つくば産ブルーベリーアイス」は、筑波山おもてなし館や会員各園で販売。他にもつくばを感じられるお土産として、協議会のブルーベリーを使用した「つくばの青い果実のラングドシャ」も好評です。
また、協議会を通して県外有名菓子店や大手ジャムメーカーとの取引も。つくば産ブルーベリーが高品質で味が良いことを広くアピールしています。目下の夢は、「地元のワイナリーや酒蔵、ブルワリーと連携して、つくばワイン・フルーツ酒特区ならではのブルーベリーワインやリキュール、ビールを開発したいです!」と久松さん。
たゆまぬ研究と努力で、今後もさらに魅力を増していくつくばのブルーベリーを楽しみにしていてください。

つくば産ブルーベリーアイスは市内グルメイベントでも高評価を得た人気商品。市内小中学校の給食用にオリジナルブルーベリージャムも作成します。(※ジャムのパッケージは異なります)

紫峰の里を彩る紫色の果実。つくば市で、自分好みのブルーベリーに出会いませんか。

つくばブルーベリー協議会
TEL:029-847-6780
つくば市野畑767-1
http://298blueberry.com/

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