Farm to Table つくばについて 地産地消 美味しいつくば産 特集 編集部コラム

つくばの「ローカル」をつなぐ多国籍料理のお店/marketオーナー GEORGE(ジョージ)さん・YUKI(ユキ)さん

# 料理する人(お店)

国際色の豊かなつくば市で、「作っている農家さんの顔が見える新鮮で美味しい野菜を食べながら気軽にお客さん同士で話ができるコミュニティの場所」を提供しているレストラン「market」。この店のオーナーでもあり、毎週つくば市で開催している地産地消に力を入れたファーマーズマーケット「Village Market」の主催者でもあるGEORGE(ジョージ)さんとYUKI(ユキ)さんに、お話を伺いました

地産地消について熱心に語るGEORGEさんとYUKIさん

 

【ヒーロー的存在である「農家」のコミュニティの場である「Village Market」】

「私たちがずっと住んでいたカナダやアメリカでは、農家さんってみんなの食べ物を作るヒーローみたいな感じで、かっこいい職業なんですよ。街でもファーマーズマーケットといえば、いつも色々な場所でやっている地域のコミュニティみたいな場なんです。」と語る、YUKIさん。2020年に日本に永久帰国した時に、国際色豊かなつくば市でもそんなファーマーズマーケットをやってみたいと思ったそう。また、2019年にカナダから日本へ移住し、坂東市で農業を始めて以降、農産物の販売先として、カナダのように定期的に開催している地産地消のファーマーズマーケットを探していたというGEORGEさんとEMIKAさんご夫妻。ですが日本には、アメリカやカナダのように地域で開かれているファーマーズマーケットはあまりありませんでした。そんな同じ思いを持つ3人は、たまたま珍しい犬種を飼っていたという共通項からインスタグラムで知り合い、すぐに意気投合、自分たちでファーマーズマーケットを作ってみようということになったといいます。「本当の意味のファーマーズマーケットって、その地域の人たちが、地元の農家さんたちをサポートするということなんですよ。つくばの農家さんが遠くの地域で開催されているマーケットに出店しているというのは大変なことですし、本来はちょっと違うんです。」と熱く語ってくれました。そんなYUKIさん、GEORGEさんとEMIKAさんご夫妻の3人は、定期的に開催しているカナダやアメリカのような本当の意味でのファーマーズマーケットを開催したいという夢を実現するため、動き始めます。そして、2021年10月、ついにその夢が叶い、つくば市の公園で「Village Market」をスタート。新型コロナウイルスまん延の渦中に研究学園駅前公園で開催することとなった第1回目の「Village Market」は、インスタグラムで出店者を募集。生産者に一通一通DMを送ったところ、多くの生産者が3人の熱意に賛同し、それまで面識のなかった生産者半数を含む50店舗の出店者が集まったといいます。こうして開催された第1回目は、朝から土砂降りの雨と強風……テントが飛ばされそうになりながらも、1店舗もキャンセルすることなく、出店者の熱意で持ちこたえ、大盛況を収めました。第1回目の大盛況を機に、出店者などの間で良い噂が広がり、2年目にしてついに念願の毎週開催に至りました。毎週、つくば市内の異なる公園で開催されているにもかかわらず、今では生産者や農産物などのファンとなった沢山の常連客が買いに訪れているといいます。

同じ犬種を飼っていて、すぐに意気投合した3人

【本当の意味での「サスティナブル」とは?】

「みんな、サスティナブルとかSDGsとか話しますけど、本当のサスティナブルを理解している方は日本ではまだ少ないんですよね。カナダでは、地元の人が地元で作っている農家さんをサポートするということは当たり前なんです。」と話すGEORGEさん。GEORGEさん自身、農業をやっていたということもあり、生産者の大変さがわかると言います。「日本のスーパーで並ぶきれいな野菜、カット野菜の裏には、本当は野菜ひとつひとつに、その野菜を育てるローカルの農家さんがいること。特にオーガニック(有機栽培)の野菜を作ることの大変さをたくさんの人に知ってほしい。そういった【ローカル】の単位でないとわからないことをたくさんの人に伝え、その方たちをサポートし情報を共有しあう。野菜を使う人も、農家さんと直接話をしながら生産者の顔がわかる野菜を使い、それに感謝しながら食す。これが本当のサスティナブル、SDGs。」と、GEORGEさんは話します。当たり前に目の前にある農産物も、輝く生産者の存在があって初めて、私たちは食することができています。地産地消だから実現できる、「Farm to Table(農場から食卓へ)」。GEOEGEさんとYUKIさんは、それをつくばの「Village Market」と、つくば駅前にオープンしたレストラン「market」で実現させています。生産者の顔が見えることを大切にしているというGEORGEさん。「market」で食べられる野菜プレートは「Village Market」出店者の野菜を使用し、毎回、その野菜の生産者の説明をしながら提供するのだそう。そして、店頭では写真付きで生産者を紹介しています。また、その生産者たちの野菜をカウンターに置き、生産者の顔を見せることを心がけているといいます。地元の人が食するときまで地元の生産者の顔を見せることが本当の地産地消だという2人の顔は、まさに「ヒーロー」の立役者。

壁にはお店で仕入れている食材を生産する農家さんが写真付きで紹介されています

【ローカル食材の集まる、ローカルの憩いの場になるレストランであるために】

GEORGEさんの育ったバンクーバーは、多民族国家であるために料理も多国籍。食事を決める際も「今日はどこの国の料理にしようか?」から始まるといいます。小さいころから多国籍料理が当たり前だったGEORGEさんにとって、日本に来てまず驚いたことは、どこへ行っても「和食」が多かったことでした。自国との食文化の違いに触れたGEORGEさん。その心に、世界の多種多様なスパイスや食材を生かした、多彩なメニューを1か所で提供できるようなお店を作りたいという思いが芽生えます。その思いは、つくばの地でつくばの生産者が作った食材で多国籍料理を作り、地元の人々が美味しい料理を囲みながら気軽に楽しく話せる場を作りたいという3人の夢につながり、2024年6月、つくば駅に直結したトナリエキュート1階に、多国籍料理店「market」をオープン。店名の「market」にも、「マーケット」は世界中どこへ行ってもコミュニティの場所であり、このお店もそんなコミュニティの集う場でありたい、という思いが詰まっています。店舗のスタッフも多国籍です。インド、スリランカ、フィリピンなど…メニュー開発の際もその国のスタッフと考えて作っているんだとか。色々な国のスタッフとお客様が気軽に話せるよう、オープンキッチンにしています。今では、沢山のファンがついているスタッフもいると言います。また、一人で来店しても、お客様同士が気軽に話せるようにとコミュニティテーブル(カウンターテーブル)をたくさん設置。日本でも、カナダやアメリカのようなコミュニティの場を作る、そんな思いがたくさん詰まった店の作りになっています。しかしはじめはとても大変だったといいます。フレンドリーな欧米人に対し、日本人はとてもシャイ。気にはなるけどなかなか一人で来店できない、来店できても今度は周りの人と会話するのに躊躇する。そういう時にスタッフが少し入りながら、コミュニティづくりのサポートを行っているといいます。「毎日気軽にコーヒーを飲みにきて話ができる出会いの場所であってほしいです。」海外では顔を見ながら話をするのが当たり前。日本人ももっと遠慮しなくてもいいと思います。人の目を気にしたりしないで、もっと気軽に声をかけてきてほしい。国籍は関係ない。安全な場所なら何があっても大丈夫だよっていう場所を本当に作りたい。だから、飲食店というよりも、本当にコミュニティを作る場所、そしてそこで美味しいものを食べられたらいいなと思っています。」とGEORGEさんは話します。おすすめのメニューを聞くと、「うちの商品というより、食べたことのないものに挑戦するということがおすすめです。」とGEORGEさん。地元の人たちを繋ぐ多国籍料理。毎回使う生産者の野菜によって料理の風味が変わるのを感じられるのも魅力です。

予想外の形で出てきたさつまいもフライドポテトは、とても甘くて、ワサビアイオリとの相性抜群!

国際色の豊かなつくばで、地元の野菜で多国籍の料理が食べられるコミュニティの場所。皆さんもぜひ、熱い思いや魅力がたっぷりつまったお店「market」に足を運んでみてください。

解放感のある店内は、まさにコミュニティの場にピッタリ!

market
TEL:090-3092-0298
茨城県 つくば市吾妻1-6-1 トナリエつくばスクエア1F
営業時間:10:00~23:00
定休日:不定休
https://www.marketrestaurant.jp/

 

Village Market (ファーマーズマーケット)
https://villagemarketjp.wixsite.com/tsukuba?lang=ja

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