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つくば市にご当地グルメを根付かせるために尽力!/つくばご当地らーめん開発プロジェクト事務局 (つくば観光コンベンション協会) 本間亮太さん

# スペシャリテ

県内屈指のラーメン激戦区つくば。市内には200を超えるラーメン店がひしめき、中には大人気ラーメンイベントで堂々グランプリを獲得する話題店も構えます。また、毎年秋には多くの来場者を集める「つくばラーメンフェスタ」(※)も開催しています。そんなつくば市の新たな名物として、福来みかんを使ったご当地ラーメンが誕生。今では市内学校給食でも提供されるようになりました。

※2020年、2021年は開催を見送りました。

 

【つくば市の名物を作りたい!】

つくばご当地らーめん開発プロジェクトが発足したのは2013年のことでした。同プロジェクト立ち上げ当初からこれまでずっと中心的人物として関わっているのが、つくば観光コンベンション協会の本間さんです。まずプロジェクト発足に至るまでの想いや働きかけについて、伺いました。

「つくばの観光振興に携わっていて、〝食〟のアピールに関する部分でもどかしさを感じていました。つくば市は立地も風土も素晴らしい場所ですが、特産品や名物などを聞かれると〝これ〟という特筆したものがなかなか明確に挙げられない。そんな中で、何かつくば市を代表する特産物や名物になり得るものはないだろうか?と模索するうちに、たどり着いたキーワードが〝ラーメン〟と〝福来みかん〟でした」と本間さん。

つくば市は全国的にみても数多くラーメン店がひしめくエリア。東日本大震災からの復興を目指すことをきっかけに2012年からは市商工会青年部を中心に「ラーメンでつくばを元気に」をスローガンに掲げたイベント・つくばラーメンフェスタを大々的に開催しています。同イベントは毎年、県内外から多くの来場者を集め大盛況。本間さんがラーメンに着目したのも、その様子を間近で見ていたからでした。

「ラーメンフェスタをきっかけに、つくばのラーメンの魅力を改めて知りました。県外から多くの店が出店しているにも関わらず、市内のラーメン店に行列を成していて……。たった数日のイベントでしたが、この日以外でも、つくばにラーメンを食べに来てもらえればと思いました」

そう考えた本間さんは、市商工会青年部と共にご当地ラーメン開発プロジェクトを開始しました。

筑波山に古くから自生する福来みかん 筑波山麓の民家の庭にもよく見かけます

 

 

【福来みかんとラーメンの出会い】

他にはない、つくば市らしいラーメンを求めて。まずは、そのテーマとなる市産素材を模索するところから始まりました。市の特産のねぎや養殖のチョウザメ、ブルーベリーなどなど……。市内ラーメン店にもオブザーバーとして意見を聞きながら試行錯誤。そして「これは」と行き着いたのが福来みかんだったといいます。

福来みかんは、筑波山麓エリアで約2,000年前から続く歴史ある固有種。一般的によく目にする温州みかんよりも小ぶりな黄色い実です。沖縄名物のシークワーサーと同じ成分が多く含まれ、酸味・香りが強く、産地では乾燥させた皮(陳皮)を粉状にして七味唐辛子などに使っているそう。

「当時は今よりもずっと福来みかんの認知度は低かったものの、その歴史や特有性、特徴を知るにつれ市の名物としてぜひ取り上げたいと思い、ご当地ラーメンの題材に決定しました」

そうして、2014年にはプロジェクトのひとつの目標「福来みかんの認知度を上げる」ことを目的に第一回「つくば福来らーめん紀行」が開催されるに至りました。市内ラーメン店に協力を仰ぎ、福来みかんを題材にしたオリジナルラーメンを期間限定で提供してもらうという企画です。協力店のアイデアでバラエティ豊かな福来らーめんが誕生しました。福来七味を薬味として添えたり、陳皮を麺に練りこんだり、福来ドレッシングで麺を和えたりなどなど。実際に口にした一般消費者からも「福来みかんっていい香りがするんだ」、「アクセントになっていい」といった感想が。企画は好評を得て、その後も福来らーめん紀行は毎年、毎シーズンの恒例としてすっかり定着しました。また、本間さん自身も福来らーめんの看板を背負い県内外のイベントに積極的に出展。今では「つくば市のご当地ラーメン」の広告塔として、文字通り身体を張ってプロジェクトを牽引しています。

イベントで大好評の「宇和島産鯛だしの福来らーめん」 麺は噛むほどに福来の香りが口いっぱいに広がります

 

【目指すのは、福来グルメのムーブメント】

しかし、福来みかんは長い歴史を持ちながらもなかなか日の目を浴びることのなかった作物です。裏には、難題が立ちはだかっていました。

「筑波山麓固有種という福来みかんの性質上、生産者はごく限られています。原料確保のため、農家さんをひたすらまわりました。次に加工難度の問題です。福来みかんは実が小さくて皮も薄いため、皮を剥くのに手間も時間もコストもかかる。苦労して剥いた皮を乾燥させれば、更にかさも減ります。10キロの福来みかんの皮から出来る陳皮はたったの約500グラムです」

まだまだ充分な生産量を確保するには至りませんが、福来らーめんのように新たな需要を創出していくことで生産量を徐々に拡大していく狙いもあると本間さんは話します。実際、以前に比べ福来みかんを活用した物産品も続々と増えてきており、つくば市の名物としての認知度も高まってきていると言えます。2015年からは市内小・中学校の給食に福来らーめんが採用。また、小学校では食育授業として福来みかんの皮むき体験も行われています。

今後の展望として、福来みかんの更なる活用とプロジェクトのステップアップを挙げる本間さん。これまで年複数回開催していた「つくば福来らーめん紀行」について、2020年度からは年末年始に限定開催しています。

「福が来る、ということで、福来が年末年始の縁起物になってほしい、つくばの新たな食文化になってほしいと期待しています。今後はラーメンに限らず、更にステップアップして市内より多くの人を巻き込んで〝つくばの福来グルメのムーブメント〟を作っていきたい。定番化したラーメンも、イベントに限らず各店舗自由にやってもらえるような供給体制を整えたいですね。年間を通して、市内が福来グルメであふれている街になって、つくばのご当地グルメを食べに全国から多くのお客さんが来るようにしたいです!」

実際につくば市の小学校給食で出された福来メニュー 福来ポン酢を添えての提供は子供たちにも大好評

 

 

ご当地ラーメン開発プロジェクトから始まった、つくば市を代表する名物づくりの今後に期待が高まります。「つくばに美味しい福来たる」日を楽しみにしていてください!

 

≪福来らーめんに関する問い合わせ先≫
つくば観光コンベンション協会
TEL:029-869-8333
茨城県つくば市筑穂1-10-4
http://www.ttca.jp/

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