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特別対談/カフェ&レストランバスティーユ シェフ・下野剛さん&福田農園 福田文さん

# スペシャリテ

有機野菜、無農薬・減農薬野菜をたくさん使い、身体に優しく美味しい料理を提供する人気レストラン「バスティーユ」。オーナーシェフの下野さんは、自身でも菜園を手がけています。そんなシェフがレストランメニューで愛用する米や野菜を作る「福田農園」の奥様、文さんと対談形式でお話を伺いました。

 

【安全・安心、そして美味しい地元野菜】
市内はもちろん、都内や隣県からも足を運ぶ人が多いというバスティーユ。その評判に一役買っているのが、自家菜園と市内契約農家から届く新鮮な野菜です。

――福田農園の野菜をいつから使用しているのですか?
(下)「現在の場所に移転オープンしたのが2017年なのですが、それより前に市内の別の場所で営業していた頃からです。通年で使用しているのはお米。その他に、時期によってジャガイモやトマト、イチジクなどをお願いしています。美味しかったことに加え、福田さんは自身で精米も出来るということで、いつも精米したての状態で持ってきてくれるところが良かったです。今は月に2~3回、30キロぐらいずつお願いしています。お米の鮮度を落とさず使いきれるちょうどいいペースです」
(福)「うちでは種蒔きから精米まですべて自分たちの手で行っています。規模が大きくない分、管理も含めて出来る限り手間をかけています」
――下野さんは、福田さんの圃場を見に行かれたことはありますか?
(下)「はい。福田さんがイチジクを作っていると聞いて、ビニールハウスを見に行ったときのことをよく覚えています。イチジクの木ってこんなに低いのか!と驚きました。自分の目で見ることで、お客さんにもどういう素材なのか明確に説明することが出来ますから」
(福)「イチジクの木はなかなか見る機会ないですものね。イチジクも、極力農薬を使わずに育てています」

【バスティーユ流イチジクメニュー】
日本人の主食であるお米に対して、逆にイチジクはなかなか馴染みの薄い食材。下野さんは、そんなイチジクをどのように提供しているのでしょうか。

――下野さん、福田農園のイチジクを初めて食べた時の印象を教えて下さい。
(下)「ちょうど、お米の納品の際に〝イチジクもあるよ〟と聞いて。興味があって持ってきてもらったんです。皮を剥かずにそのまま食べられるよ、と福田さんに教えてもらって、実際食べてみたら、スーパーで売っているものとは全然違う。エグみもなく、ジューシーで甘い!」
――イチジクは、生食だけでなく料理にも使われるんですか?
(下)「うちではカットして前菜に添えたり、あとはデザートですね。コンポートにしたり……。食材としてはやや難しいです。日持ちもしないですし、そのまま食べるのがやっぱり美味しいですよね。本当はもっと色々試してみたいんですが」
(福)「そういえば、別のお客さんに教えてもらったんですが、イチジクって、焼いて食べても美味しいそうですよ!お肉のつけ合わせとか。小粒のものをカットせずに焼いたりして」
(下)「それいいですね、今年ぜひ取り入れてみたいです。ローストいちじくのソースとか、セミドライいちじくを使うのもいいかもしれない。こうやって話すとアイデアが湧いてきますね」
(福)「お客さんから〝こんな風に使うといいよ〟って教えてもらうことは結構多いです。私も、いちじくの時期は毎日忙しいのでバスティーユさんに食事に来ることも出来なくて、いちじくのメニューはまだ食べたことがない。ぜひ、いただいてみたいです。今後の課題です」

【農家の目線、料理人の目線】
会話の中で、新たなひらめきを得ることが出来たという下野さん。農家と料理人、異なる互いの目線からヒントを得るところは多そうです。

――下野さんは自家菜園を作っていらっしゃいますが、農業者の福田さんがアドバイスをすることもあるんですか?
(福)「移転前の場所では、畑がすぐ近くだったのでそういう機会もありました。今の畑はまだ見せていただいたことがないのですが、下野さんはあまり私が作らない珍しい野菜を色々作っているので、逆に教わることがあります」
(下)「福田さんと被らないように作ってますから。ジャガイモも、福田さんが〝とうや〟という品種を作っているから、それとは違う紫ジャガイモ等を植えましたよ。福田さんのジャガイモはどんな風に調理しても美味しいんです!それから、小さいサイズも意外と使い勝手が良いですよ。皮ごとローストしたり」
(福)「えっ、あんな小粒も良いんですか?」
(下)「はい。料理人と農家さんって、それぞれ考えている需要が違うのかもしれませんね。以前、福田さんがヤングコーンを持ってきてくれた時、わざわざ皮を剥いてくれていましたが、あれも実は皮付きの方が良いです」
(福)「そうなんですね!皮付きだとゴミになるし邪魔かなって思ったんですが……」
(下)「農家側からするとそう思うかもしれませんね。でも実は、皮もあった方が料理の幅が広がるんです」
――最後に、お二人から見て、つくば市の農業環境はどうですか?
(福)「温かい土地のものも、寒い場所のものも、何でも作れる場所だと思います」
(下)「そうですね。気候も良く、とても育てやすいです」
(福)「イチジクの産地は、ビニールハウスだと愛知、露地物は千葉、他に和歌山や福岡などもっと南の方が有名どころなんです。だから自称ですが、つくばが北限じゃないかなと思っていて」
(下)「確かに。今年は福田さんのイチジクをもっと使ってみたい。買出しの途中など、直接取りに行ってもいいですか?」
(福)「もちろん!」
(下)「まだまだ色々な可能性がありそう。今後が楽しみです!」

バスティーユでは福田農園の米も使用。こちらはシェフが3日間かけて作る「常陸牛の牛すじ煮込みカレー」

農業者と料理人。それぞれの目線をクロスさせてみると、さらに素敵なひと皿が生まれる可能性が見えてきました。それも、顔を合わせて意見を交わすことが出来る距離だからこそ。安全・安心で美味。そして時には斬新なアイデアで、私たちを楽しませてくれることでしょう。

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